土地勘を持てない不思議な空間
オリンピックの閉会式で、スパイスガールズが登場するときに、黒のオースチン(実際は日産が製造していたと記憶する)のタクシーが登場した。
ロンドンといえば、黒いタクシー。あれは、けっこう中が広々としていて、向かい合って座ると5人くらい乗れる。ロンドン市内を移動するには、もっとも便利な移動手段である。
しかし、最初のうちは、やたらとわざわざ小さな公園のあるところをグルグルと回るので、遠回りでもされてるのかと思った。あとになって、それが一番の近道であるとわかるのだが。
ロンドンの想い出は、おいしい店が隠されていることと、なかなか土地勘がつかめないことだ。
土地勘のつかめなさといったら、地図なしでロンドンの中心部を歩くことはずっと不可能だったほどだ。ようやくつかんだと思ったら、半年して訪れてみたら、また土地勘がなくなっていた。こんなの珍しい。
グルグル回るからだろうか。街自体に何か不思議な魔法でもかかっているからだろうか。
ウィンブルドンの自宅から、よく日曜日に飲茶するために、チャイナタウンに出かけたのだが、どういう道を通ったか、どの橋を渡ったか、まるで覚えていない。
ロンドンは記憶の霧の中にある。